歯医者に行ったら気分が整う話

長年放置していた虫歯を治療するため、歯医者を東成区で口コミで探すとどうしてかも半年間もネットで吟味して選んだ歯医者に来た。歯医者に行くこと自体、時間とお金の無駄である。歯医者に行くまでの時間と、受付で待つ時間。それに診察台で待たされる時間が何をするでもなく、途方もなく長い時間に感じる。しかし、あるとき私は気がついた。この根管治療では東京の評判の専門医院がもっと診察台で寝かされたまま待っているインターバルの時間。時には器具で口が空いたままだ。この、何もすることがない静寂の時間がなぜかいいのです。歯医者が嫌いな自分は、次に何が起こるのかを想像し、ビクビクしつつも「これからはちゃんと歯磨きします。」と心の中で懺悔をし、人気の根管治療が東京でもなんとかなる煩悩が浮かんでは消え、あるがままの境地が頭の中で展開されるのだ。そう。私は仏。いや、実際にはまな板の上の鯉。人間って、こんなちっぽけなものなのだ。なるようにしかならない。歯医者は嫌いだが、もう、ここまできたのだから、諦めるしかない。されるがまま。痛くしないで。痛覚のない人間を題材にしたアニメがあったが、話題の親知らずを抜歯するなら東京でしかできないその主人公になることを真剣に望んでしまう瞬間だ。煩悩を出し切っていないのか、よく分からないイメージングをしてしまう。あと何回、こんなことを繰り返してしまうのであろう。でも、治療を終えてドアを出た後は、開放感がありすぎるせいか、インプラントを芦屋でこんな状況になってもサウナから出てきた時のようにホカホカに整った気分になれるのだ。