-
「歯列矯正やらなきゃよかった」と感じた瞬間とその理由
歯列矯正は、多くの人にとって美しい歯並びと自信をもたらす素晴らしい治療ですが、中には治療の過程や結果に対して「やらなきゃよかった」と感じてしまう瞬間があるのも事実です。その理由は人それぞれですが、いくつかの共通したパターンが見受けられます。まず、治療初期の強烈な痛みや不快感に直面した時です。矯正装置を装着した直後や、ワイヤーを調整した後の数日間は、歯が浮くような、あるいは締め付けられるような痛みが続くことがあります。食事もままならず、会話も億劫になり、日常生活に支障が出るほどの痛みを経験すると、「こんなに辛い思いをするなら、やらなければよかった」と弱気になってしまうことがあります。また、頻繁にできる口内炎も大きなストレス源です。装置が粘膜に擦れてできる口内炎は、食事や会話のたびに痛み、精神的にも滅入ってしまいます。次に、治療期間が予想以上に長引いた時です。当初の説明では「2年程度」と言われていたのに、実際には3年以上かかってしまったり、終わりが見えないように感じたりすると、モチベーションの維持が難しくなり、「いつになったら終わるのだろう、もうやめたい」という気持ちが湧いてくることがあります。特に、周囲の友人たちが次々と治療を終えていく中で、自分だけが取り残されたように感じると、焦りや後悔の念が強まるかもしれません。そして、期待していた治療結果が得られなかった時も、大きな後悔に繋がります。例えば、歯並びは整ったものの、噛み合わせにしっくりこない部分が残っていたり、歯の正中(中心線)が顔の中心とズレていたり、あるいはブラックトライアングル(歯と歯の間の歯茎の隙間)が目立ってしまったりする場合です。「高いお金と長い時間をかけたのに、これだけ?」と、費用対効果に疑問を感じ、失望してしまうのです。さらに、治療後の後戻りを経験した時も、「やらなきゃよかった」と強く感じる瞬間でしょう。リテーナーの装着を怠った、あるいは指示通りに使っていたにも関わらず歯が動いてしまった場合、これまでの努力が水泡に帰したように感じ、深い絶望感と後悔に襲われます。