歯列矯正中の歯磨き過ぎは禁物?正しいケアで守る歯と歯茎

歯列矯正中は虫歯や歯周病のリスクが高まるため、いつも以上に丁寧な歯磨きが求められます。しかし、綺麗にしたいという思いが強すぎるあまり、力を入れすぎたり、時間をかけすぎたりする「歯磨きのしすぎ」は、かえって歯や歯茎にダメージを与えてしまうという可能性があります。例えば、強い力でゴシゴシ磨き続けると、歯の表面のエナメル質が削れてしまったり、歯茎が下がってしまったりすることがあります。これを専門的には「楔状欠損(くさびじょうけっそん)」や「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」と呼ばれています。エナメル質が削れると、冷たいものがしみやすくなる知覚過敏の原因になることもありますし、歯茎が退縮すると、歯の根元が露出し、見た目だけでなく、虫歯にもなりやすくなります。特に矯正装置の周りは複雑な形状をしているため、汚れを落とそうと必死になるあまり、特定の場所だけを過剰に磨いてしまう傾向があります。大切なのは、適切な力加減と正しい磨き方です。歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、毛先が歯と歯茎の境目、そして装置の周りにきちんと当たるように細かく動かすのがポイントです。それでも磨き残しが心配な場合は、歯科医院で定期的にクリーニングを受け、歯磨き指導で自分の磨き方の癖や改善点を確認することをおすすめします。矯正治療を成功させ、健康で美しい歯並びを手に入れるためには、日々の適切なオーラルケアが不可欠だと言えるでしょう。