ついに始まった歯列矯正。長年の夢だった綺麗な歯並びを手に入れるためとはいえ、矯正装置を装着した初日から数日間は、想像以上の試練の連続でした。特に辛かったのが、食事の時に何かを噛むたびに襲ってくるあの鈍い痛みです。先生からは「最初は少し痛むかもしれませんよ」と聞いていましたが、私の場合は「少し」どころではありませんでした。最初の晩、楽しみにしていた唐揚げを一口噛んだ瞬間、前歯にズキーン!と電気が走るような痛みが響き渡り、思わず顔をしかめてしまいました。それからはもう、何を食べるのも怖くなってしまって。お粥やヨーグルト、ゼリー飲料など、ほとんど噛まなくても飲み込めるものばかりを選んで食べる日々が続きました。大好きだったお煎餅やリンゴなんて、もはや高嶺の花です。ワイヤーで歯が締め付けられているような感覚と、歯全体が浮いているような、それでいてズーンと重たいような、何とも言えない不快感が常にありました。特に朝起きた時が一番痛みが強く、歯と歯が少し触れ合うだけでもジンジンと響くのです。友達とのランチも、以前のように心から楽しめなくなってしまいました。みんなが美味しそうにパスタやサンドイッチを頬張る中、私はそっとフォークで細かくしたものを、できるだけ歯に当たらないように、まるで雛鳥のようにゆっくりと口に運ぶのが精一杯。噛むという行為がこんなにも大切で、そしてこんなにも痛みを伴うものになるなんて、矯正を始めるまで考えもしませんでした。痛み止めを飲めば少しは楽になりましたが、薬が切れるとまたすぐにあの嫌な痛みがぶり返してきます。鏡を見るたび、ブラケットがキラリと光る自分の口元を見て、「本当に綺麗になるのかな」「この痛みはいつまで続くんだろう」と、何度も心が折れそうになりました。でも、そんな時、同じように矯正を頑張っている友人からの励ましの言葉や、先生の「順調に動いていますよ」という一言が、細い蜘蛛の糸のように私を支えてくれました。痛みのピークは最初の3日間くらいで、その後は徐々に和らいでいきましたが、調整でワイヤーを交換するたびに、またあの懐かしい(?)痛みがやってくるのです。それでも、少しずつ歯が動いて綺麗になっていくのが分かると、その痛みが頑張っている証のように思えてきて、不思議と乗り越えられました。
私の矯正日記!噛むたび涙した日々