お子様の成長は喜ばしいものですが、乳歯から永久歯へと生え変わる時期には、歯並びに関する心配事が増えるご家庭も少なくないでしょう。特に、歯が重なって生えてきたり、本来の位置とは異なる場所から顔を出したりする「二重歯列」は、保護者の方が気づきやすい歯並びの問題の一つです。仕上げ磨きの際に、「あれ?歯が二枚になっているみたい」「なんだか歯がガタガタしているな」と感じたら、それは二重歯列のサインかもしれません。早期に気づき、適切な対応をすることで、お子様の将来の口腔健康を守ることに繋がります。子供の二重歯列に気づくきっかけは、日常の観察の中にあります。例えば、乳歯がまだ抜けていないのに、その内側や外側から永久歯が生えてきている場合、これは典型的な二重歯列の初期症状です。また、前歯などが綺麗に一列に並ばず、前後左右にずれて生えている場合も注意が必要です。顎の大きさと歯の大きさのアンバランスが主な原因ですが、指しゃぶりや舌突出癖、口呼吸といった癖も歯並びに影響を与えることがあります。これらのサインを見逃さず、少しでも気になったら自己判断せずに、まずはかかりつけの小児歯科医や矯正歯科医に相談することが大切です。歯科医に相談する適切なタイミングとしては、一般的に永久歯の前歯が生え始める六歳臼歯が生えてくる頃、つまり小学校低学年くらいが一つの目安とされています。しかし、明らかに乳歯の抜ける時期が遅れていたり、永久歯の生える方向がおかしかったりする場合は、それよりも早い時期に一度診てもらうと安心です。専門医は、お子様の顎の成長段階や歯の生え変わりの状況を総合的に判断し、すぐに治療が必要なのか、あるいはしばらく経過観察で良いのかを的確にアドバイスしてくれます。治療が必要な場合でも、早期に介入することで、比較的簡単な装置で改善できたり、将来的な本格矯正の負担を軽減できたりする可能性があります。お子様に二重歯列の治療について説明する際は、なぜ治療が必要なのか、治療することでどんないいことがあるのかを、分かりやすい言葉で優しく伝えることが重要です。「かっこいい歯並びになるよ」「虫歯になりにくくなるよ」など、前向きな言葉を選び、不安を取り除いてあげましょう。