ワイヤーが頬に刺さる!自分でできる応急処置法

歯列矯正中にワイヤーが頬や歯茎に刺さって痛い、というトラブルは残念ながら多くの人が経験するものです。すぐに歯科医院に行ければ良いのですが、予約が取れなかったり、休診日だったりすることもあります。そんな時に役立つ、自分でできる応急処置の方法を知っておくことは非常に重要です。まず、ワイヤーが刺さっていると感じたら、慌てずに清潔な手で鏡を見ながら口の中を確認しましょう。どこからワイヤーが飛び出しているのか、どの程度刺さっているのかを把握することが大切です。最も基本的な応急処置は、矯正用ワックスを使用することです。これは矯正歯科で最初にもらうか、購入できる半透明の粘土のようなものです。まず、手をきれいに洗い、ワックスを米粒程度の大きさにちぎって指で丸めます。次に、ワイヤーが刺さっている部分のブラケットやワイヤー周辺をティッシュなどで軽く拭いて唾液を取り、乾燥させます。そして、丸めたワックスを飛び出しているワイヤーの先端を覆うようにしっかりと押し付けます。ワックスがクッションとなり、粘膜への刺激を和らげてくれます。ワックスは食事中などに取れてしまうこともあるので、常に予備を持ち歩き、取れたら付け直すようにしましょう。もし、ワックスが手元にない、あるいはワックスではうまく保護できないほどワイヤーが長く飛び出してしまっている場合、最終手段としてワイヤーのカットを考える人もいますが、これは歯科医師が推奨する方法ではなく、自己判断で行う場合は細心の注意が必要です。使用する器具は、清潔な眉毛用ハサミの先端や、清潔な爪切り、あるいは矯正用の小型ワイヤーカッターなどですが、これらは本来の用途とは異なります。カットする際は、ワイヤーの破片が口の中に落ちて飲み込んだりしないように、ティッシュやガーゼを口の中に添え、可能であれば家族など他の人に手伝ってもらうのが安全です。カットする部分をしっかりと固定し、慎重に少しずつカットします。ただし、無理に力を加えたり、装置を破損させたりするリスクもあるため、基本的には歯科医院に連絡して指示を仰ぐのが最善です。万が一、ワイヤーが刺さって口内炎ができてしまった場合は、刺激の少ない食事を心がけ、市販の口内炎治療薬(軟膏やパッチなど)を使用したり、殺菌効果のあるうがい薬で口の中を清潔に保ったりすることも有効です。