歯列矯正を考えているけれど元々虫歯になりやすい体質だったり甘いものが好きで口腔ケアにあまり自信がなかったりする方にとって、「矯正中に虫歯だらけになってしまったらどうしよう」という不安は特に大きいのではないでしょうか。確かに従来のブラケットとワイヤーを用いた矯正方法は清掃性が悪くなりがちで虫歯リスクを高めますが、近年では様々な矯正方法が登場しており虫歯リスクを比較的低く抑えられる選択肢も存在します。虫歯になりやすい人が矯正法を選ぶ際のポイントとして、最も注目すべきは取り外し可能な「マウスピース型矯正装置(インビザラインなど)」です。この方法は透明なマウスピースを段階的に交換していくことで歯を動かす治療法で、最大のメリットは食事や歯磨きの際に自分で装置を取り外せる点にあります。つまり、食事の時は装置を外して普段通りに食事を楽しむことができ、食後は装置を外した状態でいつもと同じように丁寧に歯磨きやフロスができるため、装置自体に食べ物が挟まったり磨き残しが装置周りに蓄積したりするリスクを大幅に軽減でき、ブラケット矯正と比較して虫歯や歯周病になりにくいと言われています。ただし、1日に20時間以上の装着が必要であり自己管理能力が求められる点や適応できる症例に限りがある点には注意が必要です。一方で、歯の裏側に装置を着ける「舌側矯正(リンガル矯正)」は表側からは見えないという審美的なメリットがありますが、清掃の難易度は非常に高いと言わざるを得ません。装置が舌に触れやすく違和感が強い場合があり、特に下の歯の裏側は唾液が溜まりやすくかつ自分では見えにくいため磨き残しが多くなりがちです。虫歯リスクが高い方にとってはより一層徹底した口腔ケアと歯科医院での頻繁なクリーニングが不可欠となります。どのような矯正方法を選ぶにしても最も重要なのは、治療開始前に担当の矯正歯科医と十分にカウンセリングを行いご自身の虫歯リスクやライフスタイルそして何を優先したいのかを正直に伝えることです。歯科医師はそれぞれの矯正方法のメリット・デメリットそして患者さんの口腔内の状態やリスクを総合的に判断し最適な治療法を提案してくれ、矯正治療中の虫歯予防策についても具体的な指導を受けることができます。例えばフッ素塗布の頻度を上げたりより専門的なクリーニングを組み合わせたりすることも可能です。