「歯列矯正やらなきゃよかった」そう思っていた時期が、私にも確かにありました。治療中の痛み、終わりの見えない期間、そして何よりも期待とは少し違った治療結果。鏡を見るたびにため息をつき、高いお金と時間をかけたことを後悔する日々。しかし、あれから数年が経ち、様々な経験や心境の変化を経て、今は少し違う視点から自分の歯列矯正を振り返ることができるようになりました。私が最も後悔していたのは、治療後にできたブラックトライアングルと、わずかに残る噛み合わせの違和感でした。完璧な歯並びを夢見ていただけに、その「不完全さ」が許せなかったのです。歯科医師に相談しても、「これ以上の改善は難しい」「機能的には問題ない」と言われるばかりで、私の悩みは解消されませんでした。当時は、なぜもっと徹底的に調べなかったのか、なぜ他の病院の意見を聞かなかったのかと、自分自身を責めたりもしました。しかし、時間が経つにつれて、少しずつその「不完全さ」を受け入れられるようになってきました。完璧ではないかもしれないけれど、治療前と比べれば格段に歯並びは良くなり、長年のコンプレックスだった口元の突出感も解消されました。以前は手で口を隠して笑っていた私が、今は自然に歯を見せて笑えるようになったのです。この変化は、私にとって何物にも代えがたいものでした。また、歯列矯正を通じて、自分の身体や健康に対する意識が大きく変わったことも、今となっては良かった点だと感じています。矯正治療中の大変な歯磨きを通じて、口腔ケアの重要性を痛感し、定期的な歯科検診やクリーニングを欠かさなくなりました。食生活にも気を配るようになり、以前よりも健康的な生活を送れているように思います。そして何より、あの「後悔」の経験があったからこそ、物事を多角的に見ることの大切さや、完璧を求めすぎることの危うさを学びました。もし、今「歯列矯正やらなきゃよかった」と悩んでいる方がいたら、まずはその気持ちを誰かに話してみてほしいと思います。そして、すぐに結論を出さずに、少し時間を置いてみることも大切かもしれません。時間が経つことで、見え方や感じ方が変わってくることもあります。
歯列矯正の後悔を乗り越えて今思うこと