歯列矯正中に歯ぎしりをしてしまうと、「矯正装置が壊れたり外れたりしないだろうか」「歯や歯茎に余計な負担がかかってしまうのではないか」といった心配が頭をよぎるかもしれません。確かに、無意識下で行われる歯ぎしりは、時に非常に強い力で歯と歯をこすり合わせたり、食いしばったりするため、矯正装置や歯周組織に何らかの影響を与える可能性があります。まず、矯正装置への影響ですが、ブラケットやワイヤーといった装置は、ある程度の強度を持って設計されていますが、歯ぎしりによる過度な力が繰り返し加わることで、ブラケットが歯から脱離しやすくなったり、ワイヤーが変形したり、あるいは稀に破損したりするリスクは否定できません。特に、セラミックブラケットのような審美性の高い素材は、金属製のものに比べてやや脆い傾向があるため、強い衝撃には注意が必要です。装置の破損や脱離は、治療計画の遅延や追加費用の発生に繋がる可能性があるため、できるだけ避けたいところです。次に、歯そのものや歯周組織への影響です。歯列矯正中は、歯を動かすために矯正力がかかっています。そこに歯ぎしりによる異常な力が加わると、歯根や歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨など)に過度な負担がかかり、歯根吸収(歯の根が短くなる現象)のリスクを高めたり、歯肉の炎症や退縮を引き起こしたり、あるいは歯の動揺が大きくなったりする可能性があります。また、歯ぎしりによって歯の咬耗(歯がすり減ること)が進行することも懸念されます。せっかく歯並びを整えても、歯自体がすり減ってしまっては審美的にも機能的にも問題が生じます。さらに、顎関節への影響も考えられます。強い食いしばりや歯ぎしりは、顎関節に負担をかけ、顎関節症の症状(顎の痛み、口が開けにくい、カクカク音がするなど)を誘発したり、悪化させたりする可能性があります。矯正治療中に歯ぎしりをしている自覚がある場合や、朝起きた時に顎が疲れている、歯がしみる、歯が欠けた、といった症状がある場合は、速やかに担当の矯正歯科医に相談することが重要です。
矯正中の歯ぎしり装置は大丈夫?歯への影響は?