昔から自分の歯並び、特に前歯のガタガタがコンプレックスでした。笑うときも無意識に手で口元を隠してしまったり、写真写りを気にしたり。歯列矯正をしたいという気持ちはずっとありましたが、金属の装置が目立つのが嫌で、なかなか一歩を踏み出せずにいました。接客業をしているため、お客様と話す機会が多く、治療中の見た目はどうしても気になってしまいます。「裏側矯正やマウスピース矯正もあるけど、費用が高いし…」と、何年も悩んでいました。そんな時、私たちの生活を一変させたのがマスクの日常化です。初めは息苦しさや不便さを感じていましたが、ある日ふと思ったのです。「マスクをしていれば、口元は見えない。これって、矯正を始める絶好のチャンスじゃない?」と。そう気づいてからは、いてもたってもいられず、すぐに矯正歯科のカウンセリングを予約しました。歯科医師に相談すると、やはり同じようにマスク生活をきっかけに矯正を始める人が増えているとのこと。私の場合は、表側のワイヤー矯正でも、白いブラケットとワイヤーを選べばそれほど目立たないし、何よりマスクで隠せる期間が長いことを考えると、費用を抑えられる表側矯正で十分だと判断しました。装置をつけた最初の数週間は、やはり違和感や痛み、話しにくさがありましたが、「大丈夫、マスクがある!」と思うと、精神的にとても楽でした。以前なら、この初期の慣れない時期に人の目が気になってストレスを感じていたかもしれませんが、マスクのおかげで乗り越えられた気がします。食事の後に食べ物が挟まってしまっても、トイレでこっそり歯磨きをすれば問題ありません。口内炎ができてしまっても、マスクがカバーしてくれます。矯正治療中のちょっとした悩みやトラブルも、マスク一枚で心理的な負担が大きく軽減されることを実感しました。もちろん、マスクをしているからといって油断は禁物です。見えないからこそ、歯磨きは以前より丁寧に行うように心がけていますし、定期的な歯科医院でのクリーニングも欠かさず受けています。マスク生活がいつまで続くかは分かりませんが、この期間を利用して長年のコンプレックスだった歯並びを治せると思うと、前向きな気持ちで治療に取り組めています。
マスク生活だからこそ歯列矯正を決意した私