二重歯列は、歯が顎のスペースに収まりきらずに重なり合って生えてしまう状態で、多くの方が悩まされる歯並びの一つです。本日は、矯正歯科の専門医として、二重歯列の診断から最新の治療法に至るまで、その最前線についてお話しさせていただきます。患者様が正しい知識を持ち、安心して治療に臨めるよう、分かりやすく解説していきたいと思います。まず、二重歯列の診断ですが、視診だけでなく、レントゲン撮影や歯の模型作製、顔貌写真や口腔内写真の撮影など、多角的な検査を行います。レントゲンでは、歯の根の状態や顎の骨格、まだ生えてきていない永久歯の位置などを確認します。これにより、なぜ二重歯列が起きているのか、その根本的な原因を探ることができます。例えば、顎が小さいのか、歯が大きいのか、あるいは過剰歯(余分な歯)が存在するのかなど、原因によって治療計画も変わってきます。これらの精密検査の結果を基に、患者様一人ひとりに最適な治療方針を立案していくのです。二重歯列の代表的な治療法としては、まず矯正装置を用いた歯の移動が挙げられます。従来からあるワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる小さな装置を歯の表面に接着し、そこにワイヤーを通して力を加え、歯を正しい位置へ動かしていく方法です。金属製のものが一般的でしたが、近年では審美性を考慮した白いセラミック製や透明なプラスチック製のブラケットも増えています。また、歯の裏側に装置を着ける舌側矯正は、外からは見えにくいため、見た目を気にする成人の方に人気があります。さらに、最近注目されているのがマウスピース型矯正装置です。透明なマウスピースを段階的に交換していくことで歯を動かす方法で、取り外しが可能であるため衛生的であり、見た目にも優れていますが、適応できる症例には限りがあります。症例によっては、歯を並べるスペースを確保するために抜歯が必要となることもあります。どの歯を抜くか、何本抜くかは、歯並びの状態や骨格などを総合的に判断して決定します。非抜歯で治療できるケースも増えていますが、無理に非抜歯で進めると口元が突出してしまったり、後戻りしやすくなったりすることもあるため、専門医とよく相談することが重要です。