歯列矯正を始めてから、早一年が過ぎようとしています。この間、様々な変化がありましたが、地味に私の日常に寄り添っているのが、時折聞こえてくる「ミシミシ」という小さな音です。最初は「何事!?」とびっくりしたものですが、今となっては「お、今日も頑張って動いてるね」なんて、心の中で歯に話しかけるくらいの余裕も出てきました。まるで、私の矯正生活の小さな相棒のような存在です。初めてこの音に気づいたのは、矯正装置をつけてから数週間経った頃だったと思います。朝食にトーストを食べていたら、奥歯の方で「ミシッ」と、本当に小さな音がしたんです。一瞬、パンの耳が割れた音かな?とも思ったのですが、その後も、ふとした瞬間に同じような音が聞こえてくるようになりました。特に、ワイヤーを調整してもらった後の数日間は、このミシミシ音の登場頻度が上がる気がします。歯が新しい位置へ向かって「よっこいしょ」と動き出している、そんなイメージでしょうか。歯科衛生士さんにこの音のことを話してみたら、「あー、よくありますよ!歯が動く時に、骨がきしむような音とか、歯根膜っていう歯の周りの組織が伸び縮みする音って言われていますね。痛みとか、装置が外れたりとかがなければ、だいたい大丈夫ですよ」と、にこやかに教えてくれました。それを聞いてからは、ミシミシ音に対する不安はかなり軽減されました。むしろ、この音が聞こえると、「治療が進んでいるんだな」と、ちょっとした達成感のようなものを感じるようにすらなりました。もちろん、いつもポジティブに受け止められるわけではありません。たまに、いつもより少し大きな「ミシッ!」という音がすると、「え、大丈夫かな、今の…」と心配になることもあります。そんな時は、鏡で装置に変なところがないかチェックしたり、指で軽く歯を揺らしてみてグラグラしすぎていないか確認したりします(もちろん、自己流のチェックですが)。そして、次の調整日に先生に「この前、こんな音がしたんですけど…」と報告するようにしています。今のところ、特に問題があったことはありません。歯列矯正は、自分自身の体の中でダイナミックな変化が起きている治療です。目に見える歯並びの変化だけでなく、こうした小さな音も、その過程の一部なのだと思うようになりました。