二年間のワイヤー生活を終え、ようやく装置が外れた日。鏡の前で見た自分の顔に、私は言葉を失いました。歯並びは、確かに綺麗になっていました。長年のコンプレックスだった前歯のがたつきは、嘘のように整然と並んでいます。でも、そこに映っていたのは、私が思い描いていた輝くような笑顔ではありませんでした。頬はこけ、以前は気にならなかったほうれい線がくっきりと刻まれ、口元はどこか寂しげ。二年前に比べて、確実に5歳は老けて見える自分の姿に、血の気が引くのを感じました。「これが、私が望んだ結果なの…?」治療前のカウンセリングで、私は口元の突出感を治したいと強く希望しました。医師からは「それなら抜歯が必要ですね」と提案され、特に深く考えることもなく同意しました。歯を抜いてスペースを作り、前歯をぐっと後ろに下げる。その結果、口元の突出感は確かになくなりました。しかし、それは同時に、私の顔から若々しいボリューム感まで奪い去ってしまったのです。友達からは「痩せた?疲れてる?」と心配されることが増え、思い切り笑うと頬のコケが余計に目立つ気がして、また口元を隠す癖が戻ってしまいました。歯並びのコンプレックスは解消されたのに、今度は顔全体の老け感が新たなコンプレックスになってしまったのです。私のケースは、治療計画そのものが間違っていたわけではないのかもしれません。ただ、歯を動かした結果、顔の印象がどう変わるのか、そのリスクについて、私自身の理解と覚悟が足りなかったのです。Eラインの美しさだけを追い求め、顔全体の調和を見失ってしまった結果がこれでした。この経験を通じて、私は歯列矯正が単に歯を並べる作業ではなく、顔という非常にデリケートなキャンバスに手を加える医療行為なのだと痛感しました。これから矯正を考える方には、どうか私のような後悔をしてほしくない。治療後の自分の顔を具体的に想像し、医師と徹底的に話し合った上で、決断してほしいと心から願っています。